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安直マン日記

割とちょろい腐女子

機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ 第46話感想

 

 

 46話がやって参りました。

 

 サブタイトルの「誰が為

 各人の仲間に懸ける想いがそこかしこで語られた回でした。

 

 

 目次(今回は割と時系列順ですが、文中で少し前後します)

  1. 撤退・三日月とジュリエッタの執念
  2. ガエリオとマクギリス、石動の最期
  3. デルマの涙と昭弘、戦いに追い立てられる鉄華団
  4. ヤマギの叫びとシノの想い
  5. 失ったものと、迷いを断つこと

 

 

 

①撤退・三日月とジュリエッタの執念

 窮地に追い込まれた鉄華団とマクギリス陣営。本物のダインスレイヴを実装したフラウロスによる突撃作戦は、ジュリエッタの必死の足留め、執念の一刀で失敗に終わり、シノは悲惨な最期を遂げることになります。

 シノの死に衝撃を受ける鉄華団とオルガ。シノの遺体回収を叫ぶオルガに掴みかかってそれを止めるユージン。シノの想いを理解しているからこそ、作戦を続行して逃げ、余計な犠牲を増やさない決断をしたのでした。

 その後ホタルビはカルタ戦でも使用したナノミラーチャフを散布し、自爆。鉄華団も数多の犠牲を出しながら戦線から離脱していきます。

 

 初めてオルガの命令を完遂することが出来なかった三日月。追い縋るジュリエッタに凄まじい怒りの感情をぶつけます。

 三日月の怒りって物凄く冷たいんですよね。他の感情が削ぎ落とされたように表情が消えて、ジュリエッタへの殺意だけを濃縮して斬りかかるさまが正に悪魔の一人バルバトスそのものといった様子で、ジュリエッタに「最早人間では(ない)」と言わしめるほど。あっこれはジュリエッタ生きて帰れないぞ……と思いました。

 ラスタルへの忠誠心を露わに、例え力で敵わなくとも、ここで死のうとも、命令を完遂して三日月に勝つ。ジュリエッタの執念の叫びに思わず彼女を応援したくなったのですが、その叫びの最中にバルバトスの一撃がコックピットを襲う。クランク二尉かな?

 敵が何を信条にしていようと知ったこっちゃないから死ね、と言わんばかりの「ごちゃごちゃうるさいんだよ」。もうどっちが悪役か分からないくらい酷い響きなんですが、これほど冷酷でなければ彼は今までの戦いで勝ち続けてこれなかったのですから、やはりこの言葉は三日月が鉄華団を守る三日月であるが故のものですね……

 

 ちなみにこの後ジュリエッタガエリオによって救出され、一命を取り留めた後の様子が描かれます。三日月の殺意を前にして「恐怖を抱いた」と真顔で語る彼女は、人間てらしくありながらも、かなりタフなハートを持っているな~と思いました。今後戦うことを辞めてしまってもおかしくないくらいの恐怖だったと思います……それにしても「悪魔に心臓を握りつぶされるような冷たさ」ってとんでもない表現だ……とても主人公に向けた言葉とは思えない……

 彼女の口から「人間として強くなる」という言葉が出たことで、彼女が阿頼耶識手術を受ける事はまず無くなったなと。それを聞いて「それがいい」とどこか安心した様子のガエリオは、やはり阿頼耶識手術を「追い詰められた末に手を伸ばす禁忌」として捉えているんでしょうね。

 

 

 

ガエリオとマクギリス、石動の最期

 鉄華団の決死の作戦を横に、ガエリオとマクギリスはそれぞれの乗るガンダムフレームで激闘を繰り広げていました。キマリスとバエル双方に阿頼耶識が搭載されている為かその戦闘スピードは凄まじく、石動も援護に入る隙がありません。

 しかし本当にバエルには対MSにおける必殺技の類は無いみたいですね……持っている剣もキマリスのドリルほどの破壊力のある武器ではないみたいですし、これではバエル持ち出しても今のところ全く良い所なしだぞマクギリス……この先モビルアーマーがわんさか飛び出す展開になったら、変わるかもしれないですがね……

 

 現状アインデバイスを搭載した疑似阿頼耶識を使用しているガエリオに対しマクギリスは彼の矛盾を突きますが、その言葉にガエリオが返した言葉は

これがお前の心を救ってやれなかった俺自身のけじめだ

お前の信じる力でお前を殺した時、俺達はようやく分かり合えるだろう」。

 

 自分がマクギリスを救ってやれなかったばっかりに、マクギリスは歪んだ理想を抱き周囲を利用して逆賊となった。だからその理想と野望ごとマクギリスを殺す(止める)のが自分のけじめなのだ、と。実際ここまで四面楚歌になっても尚足掻き続けるしかないマクギリスの現状を思えば、ここで殺さなきゃ彼は止まれないと思うのは分かるのだけど……

 持たざる者のマクギリスが努力ではどうにもならない類のあらゆる力から踏みつけにされてきた過去を経てようやく勝ち取った「力」を、既に持つ者であるガエリオが同じ力で打ち砕くことでマクギリス自身を否定する、って物凄~~~~くマクギリスのアイデンティティをぼろぼろに破壊する行動で、その方法だとまず分かり合えないんだけど……?!と目を剥きました。

 その方法でマクギリスを救えると考えるガエリオを「いかれているな」と鼻で笑えてしまうほど割り切ったマクギリスも、「正気故だ」と本気で返すガエリオも、ああもうこの人たちはこういう人間なのだと、永遠にこの2人は平行線なんだと。

 これではどっちが死んでもお互いを理解できないで終わるし、そもそももうガエリオもマクギリスも「こういう人間」として完成してしまった以上、最後までどうにもならない、死んでも分かり合えないということかと思っています。

 

 戦いの最中、アルミリアに貫かれた左手の傷が痛む様子のマクギリス。傷が痛み、一瞬の隙が生まれた彼にガエリオのドリルが襲いかかりました。あわや直撃かと思われたその瞬間、2人の間に絶叫と共に飛び込んできたのは腹心・石動。コックピットを直撃したドリルは石動の身体を貫き、彼は最後の力を振り絞ってマクギリスに逃走の機会を遺したのでした。

 

 マクギリスが「すまない」と彼の死を悼む表情を見せたことが、石動は彼にとって同じ理想を追う信頼出来る部下であり、友情は生まれなくとも使い捨ての駒以上の存在だったのだと答え合わせをされたように感じました。

 コロニー出身者で地球での差別に見舞われていた石動は、形は違えど信頼出来る上官に出会ったアイン・ダルトンとよく似た来歴を持っていました。

 自分を認めてくれた上官の為に戦うこと(上官に生きる意味を見出すこと)と、認めてくれた上官の理想を共に叶えることと(上官と共に夢を見ること)で、2人の生き方や戦いに臨むスタンスは違っているのですが、身を呈して上官を守り、利他に生きるさまには共通するものがありました。

生まれつきボードウィンの名を持った貴方には分かるまい。私は、准将の……」最期の瞬間、石動は血に混じって涙を流すのですが、それが彼の今まで生きてきた人生とマクギリスの夢に懸けた気持ちを表わすようで胸が締め付けられる思いでした。どんな形だって、キャラクターが死ぬのは苦しい。

 ガエリオはマクギリスの理想は「まやかし」であり、今は覚めてしまった、過去の夢なのだと語りました。これまでの行動から、彼が一期の頃に語っていた夢を捨て去ってしまったことは何となくわかっていたのですが、まやかしとまで言い切るとは思っていませんでした。

 持たざる者が権力を握ることを願っても、それは願うだけ無駄なのだと、ガエリオラスタルの元で過ごすうちにその着地点に降り立ったのでしょうか。

 ラスタル陣営の砲撃によって鉄華団のMSが撃墜されていくシーンの中で語られる言葉に、それならもうこの現状はどうしたって覆らないし、ガエリオはこれからも弱者から搾取する側に回り続けるということなのか、と考えてしまいました。

 

 

 

③デルマの涙と昭弘、戦いに追い立てられる鉄華団

 作戦によって多くの犠牲者を出した鉄華団の中に、疲れと困惑が見え始めました。今週もザックがこの現状を憂いた発言をするのですが、その言葉はハッシュとデインによって一蹴されます。

 視聴者の意見にもっとも近いであろうザックの考えは、「帰る家があり、学校で教育を受けた、恵まれていて他の選択肢を選ぶことができる者の意見」であると。目の前の戦いを選ぶしか道がなく、また選ぶ以外に道を見つけられない彼らは、現状を受け入れて戦うしかないのだと。本当に「貧困」と「教育」のもたらすものの大きさを痛感させられるストーリーです。

 

 先の戦いで左腕を負傷したデルマ。運が良かったと励ますダンテやチャドの言葉に、「ここで終わっても良かった」「半端な状態で生き残っても役に立てない」とこぼします。

 これはもう彼らがヒューマンデブリ出身であるからこその悲しい言葉ですが、そんな彼に昭弘がかけた言葉がありがとう。お前とこうして話が出来ることが嬉しい」「生き残ってくれてありがとな、デルマ・アルトランド

 沢山の大切な人との別れを遂げてきた昭弘だからこその重み、ヒューマンデブリ出身のデルマに対してデルマ・アルトランドそのものを認め、愛情を注ぐ言葉に涙が出ました。同じ姓を与え、家族の形を作りなおす彼らの生き方は、戦いの最中にあってもとても美しい人間愛だと感じました。本当に昭弘は人としての厚みがあるキャラクターです。

 

 作戦の失敗を受けて、再び計画の練り直しにかかる鉄華団とマクギリス。

 戦いの舞台を火星に移すことで、地球圏の勢力を凌ごうと持ちかけるマクギリスですが、もうそんな上手くいく訳ないだろムードがプンプンしています……しかしえらい偉そうだなマクギリス!!君がバエルでテンション上がってる間にとんでもないことになってるんだからな自覚してくれよ!!!

 犠牲を払ってまで火星における権力を得る事に難色を見せ始めるオルガですが、散った仲間がいるからこそ戻れないのだと、マクギリスは退路を丁寧に断っていきます。

 

 こういう会話がされる時点で、当初描いていた形の彼らの勝利はまぁまず無いなといったところですが、気になったのは戦いの場が火星に移ること

 先にCパートの話に移るのですが、今後マクギリスが頼る予定だった火星支部のプロト本部長はラスタルと内通しており、マクギリス陣営のアーレス(ギャラルホルン火星支部の基地)への入港を拒否されているんですよね。

 そうなると恐らく鉄華団の火星本部を頼ることになり、そちらに進路変更を余儀なくされると思うのですが、多分ラスタル陣営が追い掛けてくると……火星本土でMS戦が繰り広げられると、埋まっていたモビルアーマーがガンガン起動してしまうのでは……?厄災戦再発するのでは……??

 ここまでくると残り5話で収拾がつくのかな?なんて思ったのですが、そこがかなり気になったというか、あんなに大暴れしたMAがあれで終わりかな?ラスボスになるならMAしか無いんじゃないか?という予想含めてビクビクしています。

 

 

 

④ヤマギの叫びとシノの想い

 大きなアガリを求めた末に多くの犠牲者を出したことを悔やむオルガ。これまで邁進してきたのは、ひとえに家族に満足な暮らしを与えたいがため。そんなオルガの迷いに、ヤマギが悲痛な叫びを漏らします。

 「泣き言ですか?……皆あんたの言葉を信じて死んでったんだ。なのに、あんたがそんな腑抜けててどうするんですか!

 このヤマギの言葉は、ユージンがこれまで言いたくても言えなかった言葉だったとユージンは語りました。私は今まで散々「もっとオルガに盾つけユージン!」なんて言ってたんですけど、彼は言いたくても言えなかったと。オルガの苦しみにどこか遠慮していたんですね。

 それでも実際は「せめて決めたことなら迷うな」とユージンの立場的に言わなきゃいけなかった場面も多々あったんですけど、あまりにも彼の気持ちが板挟みになりすぎますよね……ここまで事態が悪化しなければオルガの負担を増やすばかりで叩きつけられない言葉だったかもしれません。

 

 心が不安定になっていることに動揺している様子のヤマギに、過去のシノとの会話を伝えるユージン。その内容は、シノのヤマギも含めた団員全員への大きな愛情を感じさせるものでした。

 ヤマギがシノに恋をしていたと作中で明言するとは思わなかった。

 しかもそれをシノが自覚してるとは思わなかった。

 テレビの前で唖然としました。でも凄く良いことだなと感じてます。

 

 時系列としては雷電号が配備された以降なのでかなり最近ですが、「ヤマギって俺のこと好きなのかな?」に「ハァ?今更かよ」と、男子高校生みたいな会話が繰り広げられていました。ユージンがそんな反応するくらい、ヤマギの気持ちは鉄華団の間でかなりバレバレだったみたいですね。わかりやすかったもんね……

 

 ヤマギの気持ちに対して「家族でどうとか、ぴんとこなくて」とシノは首を捻ります。同性間であることはさして問題ではなく、家族であることがひっかかる様子です。これにはユージンも「あ、そっち?」と虚を突かれた風でした。

  そしてそんな秘密を持ったヤマギのことも、沢山の個性のある鉄華団の面々の中で「俺なんかを好きになってくれる物好き」としてまとめて守りたい存在だと受け止めるシノの器の大きさが描かれていて、こういうシノだからヤマギも好きになったのだと納得出来ると同時に、とても切ないシーンでした。

 45話の別れの前のやり取りも、シノはヤマギの気持ちに気付いていたのだと思うと、あれは彼なりに精一杯ヤマギの気持ちを汲んだ言葉の数々だったのだと、一層彼の死が惜しくてなりません。

 シノの遺志を知り、共に鉄華団を守るのだと気持ちを一つにしたヤマギ。彼の拭った涙の粒が溶け合う描写が、シノの覚悟がヤマギにも宿ったと表しているようでした。

 

 驚きと悲しさで胸が散々かきまわされましたが、今回のエピソードは出自や育ち、持つ属性によって多くが区別され、差別されるギャラルホルンに対し、あくまでそこに集った「個」を評価する鉄華団の在り方を違う面から描いたエピソードとも取れるな、としみじみ感じました。

 

 

 

⑤失ったものと、迷いを断つこと

 大きすぎる犠牲を出した鉄華団に、これまで自分が口にしてきたのは嘘だったと自らを責めるオルガ。そんな彼に、三日月は嘘をつかせたのは俺だと返します。

 オルフェンズのキャラクター間の心理描写は本当に秀逸だなぁ……と思ったのですが、これまで三日月はオルガが何を命じても、自分が命令を遂行すればオルガの語った未来は嘘にならないそう信じてここまで戦っていたんですね。

 それが今回のジュリエッタとの戦闘で、「オルガの言葉を嘘にしてしまった」と三日月は責任を感じ、悔しさを滲ませています。そんな三日月の様子に、オルガは今一度自分は信頼され、常に仲間と一心同体でここまで来たのだと実感するのでした。

 そしてそれを噛みしめたオルガが出来る事は迷わないこと。向かう道が何であろうと、常に仲間の為にと前を向いていること。

 ついついより犠牲の少ない道を選んでほしいと思ってしまいがちですが、彼らにはせめて誰に強制されたのでもない、自分が選んだ道だと自信を持って進めるだけの決断をし続けてほしいと思いました。

 

 

 

 もうどうしたらハッピーエンドになるんだと頭が痛いですが、これから鉄華団がどうなるのか、辛くとも希望が残る最後とのことですので楽しみにしていきたいと思います。今週も疲れた……

 次回予告はマクギリスでしたね…………「生け贄」…………マクギリスは何を生け贄にして何を得るつもりなんでしょうかね…………(怖い)